会社を設立する際、「資本金をいくらにするべきか?」という問題は、これから起業する方にとって最初の大きな悩みのひとつですよね。
当社は法人5期目となりましたが、今から考えると起業当初は深く考えず、なんとなくで決めてしまったのが正直なところです。
また、当社は増資もしており、現在の資本金は1000万弱。この「弱」というところが実はポイント。
この記事では、資本金の考え方や設定額の目安、増資のタイミング、さらには同期起業の実例を交えて、実際に起業を検討している方に向けて記載しています。
資本金とは何か? なぜ重要なのか?
当方は専門家ではないのですが、話の流れとしてまずは資本金とは?というお話をしますね。
資本金とは、会社設立時に出資された資金の総額であり、会社の「体力」や「信頼性」を示す重要な指標を意味します。
が、簡単にいうと、起業当初に限って言えば、『自己資金=資本金』、つまりどれくらい会社にお金を入れて会社をスタートさせるのかということ。
資本金の役割
資本金の役割はざっくり以下が挙げられます。
- 創業時の運転資金になる
- 金融機関・取引先からの信用の基準になる
- 法人格としての「格」やイメージを作る材料になる
- 税制・融資・補助金などにおける基準額となる場合もある
一般的な資本金の相場
では、一般的な資本金の相場はいくらくらいなのか?
日本では、会社法の改正により1円から会社設立が可能になったようです。ただし実務上、1円で設立する企業はほとんどなく、ネットで調べていくと、以下のようなレンジでの資本金額が多く見られます。
資本金額 | 起業時の印象・背景 |
---|---|
~100万円 | スモールビジネスや個人事業の延長としての法人化 |
100万~299万円 | 起業としては標準的なスタート。少額で柔軟に始めたい方向け |
300万円以上 | 対外的にも信頼感のあるスタートアップ規模。融資・取引に有利 |
1000万円以上 | 節税効果のある「消費税免税期間」が無くなるが、大きな信頼を得られる |
株式会社同期起業の資本金設定と増資の経緯について
一般的な話はここまでにしておき、具体的に当社の実例(と言っても大した話ではないですが、、)をご紹介しますね。
別の記事でもご紹介はしているのですが、当社が最初に創業した会社「MF株式会社」という会社と現在の「株式会社同期起業」の2社が登場します。それぞれ経緯と資本金も異なりますので、2社分のご紹介をしますね。
MF株式会社の資本金
同期3人で創業したMF株式会社では、創業メンバー3人で100万円ずつ出資し、計300万円でスタートしました。
何故、この資本金額にしたかと言えば、起業する際はもちろん、会社を大きくすることを考えており、銀行からもお金を借りなければいけないし、取引先にもこの会社大丈夫か?と思われたくないとの想いで、信頼感のあるスタートアップ規模の相場をみて300万円という形にしました。
結果的に「創業者3名の責任と信頼性を可視化する」ためにもちょうど良いラインで、対外的にも「きちんと企業として立ち上がった」という印象を持ってもらえたのかなと今となっては思います。
また、ECでの事業、いわゆる在庫を抱える事業形態であったためある程度の資金や、銀行融資が必須であったことから、この金額感としましたが、業界、業種によっても異なると思うので、参考までに。
株式会社同期起業の資本金
現在の会社である、株式会社同期起業ではT社長が100万円からスタートをしました。
ただ、MF株式会社とは異なり、株式会社同期起業ではM&Aによる会社売却を目的として起業されたため、(T社長がその想いで起業)、事業拡大や信用力向上の必要性、別の角度で筆者がジョインする際の増資という背景もあり、現在では1000万弱まで増資をしています。
特にD2Cなど、取引先や広告主との信用が問われる場面では、「資本金=会社の信頼性のひとつ」として見られることもあり、最終的にM&Aをする際にも、買い手側に、少しでも不安を残したくないという想いから戦略的に増資を行った形となります。
ただし、これが正解だったのかはわかりません。正解は数年後にわかることりになりそうです。
資本金の「適切な額」は事業フェーズと目的によって異なる
当社の実例をご紹介したところで、も少し細かいお話をしますね。
起業時に設定する資本金は、当然ですが、「何のために会社を設立するのか」「どこまでの規模を想定しているか」によって適切な額が異なります。
✅ 少額で柔軟に始めたい人(~100万円)
- スモールビジネスや副業の法人化に最適
- ただし、外部からの信用力にはやや弱み
✅ ある程度の信用や採用力を重視したい人(300万~500万円)
- 士業・コンサル・クリエイティブ・D2Cなど信用重視業種におすすめ
- 採用時にも一定の安心感を与える
✅ 融資や取引先への信頼を強く意識する人(500万~1000万円)
- VCや金融機関とのやり取り、BtoBでの取引を想定する場合
- 資本金額が「体力」の証明になるケースも
増資のタイミングと注意点
実際に当社もそうだったのですが、起業当初は身の丈に合った資本金からスタートし、事業の成長に合わせて増資するという選択も選択肢の一つかと思います。
ただし、なぜ増資するのかという目的と注意点は押さえておきたいところ。
増資の目的例
- 融資や補助金の審査で資本金の要件を満たすため
- 外部パートナーや社員に株式を分けるため
- 社会的信用を向上させるため(プレスリリース等にも活用)
増資における注意点
- 増資には登記や税務の手続きが伴う
- 1000万円を超えると消費税の免税対象外になる
- 第三者から出資を受ける場合、株式比率の管理が重要になる
起業家視点からのまとめ:300万円以上あると「会社らしさ」が出る
筆者としては、100万円の資本金だと、どこか“個人”の印象が拭えないと感じることがあります。
株式会社同期起業のように途中で増資するのも一つの手ですが、最初から300万円以上でスタートできるなら、周囲の目や信用の面で一歩リードできるかなといった印象です。
ただし、先にも述べましたが、あくまで企業の目的やスタートする規模、はじめる事業によってもことなると思いますので、上記を参考にまずはざっくりでスタートを切ってしまっても良いかなとは思います。
正直なところ、資本金の金額はあまり深く考えなくても良いというのが筆者が伝えたいとことです。
まとめ
- 資本金は1円からでも設立可能だが、実際には信頼性とのバランスが重要
- 自分の事業フェーズと目的に応じて適切な金額を検討すべき
- 300万円以上の資本金は、企業としての信頼性を築く上で大きな武器
- 増資は、会社の信用力や将来の戦略に応じて行うべき
- 資本金の金額はあまり悩まなくてOK、それよりも企業をすること自体が大事
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